診断士2次 2017H29 事例参 金属加工業

2017H29 事例参 金属部品加工業

【C社の概要】

 C社は、1947年の創業で、産業機械やプラント機器のメーカーを顧客とし、金属部品の加工を行ってきた社長以下24名の中小企業である。

受注のほとんどが顧客企業から材料や部品の支給を受けて加工を担う賃型加工の下請製造業で、年間売上高は約2億円である。

 現在の社長は、創業者である先代社長から経営を引き継いだ。

10年前、CAD等のITの技能を備えた社長の長男(現在常務)が入社し、設計のCAD化や老朽化した設備の更新など、生産性向上に向けた活動を推進してきた。

この常務は、高齢の現社長の後継者として社内で期待されている。

 C社の組織は、社長、常務の他、経理担当1名、設計担当1名、製造部20名で構成されている。

顧客への営業は社長と常務が担当している。

 近年、売り上げの中心となっている産業機械・プラント機器の部品加工では、受注量が減少し、加えて受注単価の値引き要請も厳しい状況が続いている。

その対応として、現在C社では新規製品の事業化を進めている。

 

【生産概要】

 製造部は機械加工班と製缶板金班で構成され、それぞれ10名の作業者が加工に従事している。

機械加工班はNC旋盤、汎用旋盤、フライス旋盤などの加工機械を保有し、製缶板金班はレーザー加工機、シャーリング機、プレス機、ベンダー機、溶接機などの板金加工機械を保有している。

 C社では創業以来、顧客の要求する加工精度を保つため機械の専任担当制をとっており、そのため担当している機械の他は操作ができない作業者が多い。

また、各機械の操作方法や加工方法に関する技術情報は各専任作業者それぞれが保有し、標準化やマニュアル化は進められていない。

 加工内容については、機械加工班はコンベアなどの搬送設備、食品加工機械、農業機械などに組み込まれる部品加工、鋳物部品の仕上げ加工などで比較的小物でロットサイズが大きい機械加工であり、製缶板金班は農業機械のフレーム、建設用機械のバケット、各種産業機械の本体カバーなど大型で多品種少量の鋼材や鋼板の加工が中心である。

 顧客から注文が入ると、受注窓口である社長と常務から、担当する製造部の作業者に直接生産指示が行われる。

顧客は古くから取引関係がある企業が多く、受注品の多くは各顧客から繰り返し発注される部品である。

そのため受注後の加工内容などの具体的な打ち合わせは、各機械を担当する作業者が顧客と直接行っている。

 

【新規事業の概要】

 新規事業は、3次元CADで作成した3次元データを用いて、3次元形状の加工ができる小型・精密木工加工機「CNC木工加工機」の事業化である。

この新規事業は、異業種交流の場で常務が耳にした木工加工企業の話がヒントになり進められた。

「木工加工機は大型化、NC化が進み、加工機導入の際には多額の投資を必要とするようになった。

以前使っていたならい旋盤のような汎用性があり操作性が良い加工機が欲しいが、見つからない」との情報であった。

ならい旋盤とは、模型をなぞって刃物が移動し、模型と同じ形状の加工品を容易に再現できる旋盤である。

 常務と設計担当者が中心となり加工機の設計、開発を進め、外部のCNC制御装置製作企業も加えて、試作機そして1号機の実現にこぎつけた。

 しかし、それまで木工加工関連企業とのつながりも情報もないC社にとって、この新規事業の販路開拓をどのように進めるのか、製品開発当初から社内で大きな問題となっている。

C社は、特に新規顧客獲得のための営業活動を積極的に行った経験がない。

また、販売やマーケティングに関するノウハウもなく、機械商社などの販売チャネルもない。

 そこで常務が中心となって、木工機械の展示会に出展することから始めた。

展示会では、特徴である精密加工の内容を来展者に理解してもらうため、複雑な形状の加工を容易に行うCNC木工加工機の実演を行ったが、それによって多くの来展者の注目を集めることができた。

特に、NC機械を使用した経験のない家具や工芸品などの木工関係者から、プログラムの作成方法、プログラムの提供の可能性、駆動部や刃物のメンテナンス方法、加工可能な材質などに関する質問が多くあり、それに答えることで、CNC木工加工機の加工精度や操作性、メンテナンスの容易性が来展者から評価され、C社内では大きいな手応えを感じた。

そして展示会後、来展者2社から注文が入り、本格的に生産がスタートしている。

このCNC木工加工機については、各方面から注目されており、今後改良や新機種の開発を進めていく予定である。

 この展示会での成功を参考に、現在は会社案内程度の掲載内容となっているホームページを活用して、インターネットで広くPRすることを検討している。

 CNC木工加工機の生産は、内部部品加工を機械加工班で、制御装置収納ケースなどの鋼板加工と本体塗装を製缶板金班でそれぞれ行い、それに外部調達したCNC制御装置を含めて組み立てる。

これまで製造部では専任担当制で作業者間の連携が少なかったが、この新規事業では、機械加工班と製缶板金班が同じCNC木工加工機の部品加工、組み立てに関わることになる。

なお、最終検査は設計担当者が行う。

 これまで加工賃収入が中心であったC社にとって、付加価値の高い最終製品に育つものとしてCNC木工加工機は今後が期待されている。

 

 

第1問(配点30点)

CNC木工加工機のい生産販売を進めるために検討すべき生産管理上の課題と

その対応策を140字以内で述べよ。

 

第2問(配点20点)

C社社長は、現在の生産業務を整備して生産能力を向上させ、

それによって生じる余力をCNC木工加工機の生産に充てたいと考えている。

それを実現するための課題とその対応策について120字以内で述べよ。

 

第3問(配点20点)

C社では、ホームページを活用したCNC木工加工機の受注拡大を考えている。

展示会での成功を参考に、潜在顧客を獲得するためのホームページの

活用方法、潜在顧客を受注に結び付けるための社内対応策を160字以内で述べよ。

 

第4問(配点30点)

C社社長は、今後大きな設備投資や人員増をせずに、

高付加価値なCNC木工加工機事業を進めたいと思っている。

これを実現するためには、製品やサービスについてどのような方策が

考えられるか、140字以内で述べよ。

2017H29事例弐 寝具小売業解答例

2017H29事例弐 寝具小売業

 

第1問(配点20点)

B社について、現在の(a)自社の強みと(b)競合の状況をそれぞれ60字以内で説明せよ。

■趣旨

B社の強みと、競合するスーパーや百貨店の現状を分析する能力を問う問題である。

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第1問(a)

■AAS関西

自社の強みは、①厳選したこだわりの商品を品揃えていること、②顧客要望に的確に提案するこだわりの接客を実施していること。

■AAS東京

強みは、①休憩コーナーに日々集う井戸端会議メンバーとの関係性、②睡眠状況を聞きながら商品を進めるこだわりの接客、である。

■AAS名古屋

強みは、睡眠状況を聞きながら商品を薦めるというこだわりの接客や休憩コーナーでの井戸端会議を通じた顧客との関係性である。

■LEC

強みは、①こだわりの接客やノベルティで得た顧客の信頼、②井戸端会議でニーズ収集が可能、③顧客データベースの存在、である。

■大原

強みは、①こだわりの接客により多くの顧客の信頼を得ていること、②井戸端会議により潜在的な顧客ニーズを収集できることである。

■TAC

強みは、丁寧な接客による販売力や井戸端会議による潜在ニーズの収集力、それらによって蓄積した販売履歴等の無形資産である。

SLA

強みは、①社長のこだわりの接客、②副社長の顧客情報収集力、③井戸端会議での顧客関係性構築力、④次期社長の保育士経験である。

■MMC

強みは、①現社長の接客力や副社長の刺繍等の技術、②次期社長の保育士のノウハウ、③シルバー世代の顧客データベース等である。

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第1問(b)

■AAS関西

状況は、①大型スーパーは高品質商品が少なく製品説明も十分でないこと、②百貨店は地理的に遠く欲しい商品が無い時があること。

■AAS東京

競合の大型スーパーは、若年層の住民の大半が買い物をするが、高品質な商品が少なく従業員不足で十分な説明もできない、状況である。

■AAS名古屋

競合である大型スーパーの寝具売り場は、高品質な商品が少ない上に従業員がほとんどおらず十分な説明もできていない状況である。

■LEC

大型スーパーは、①若年層住民の大半が買い物をし、②売場は高品質商品が少なく、③従業員も少なく接客対応が不十分な状況である。

■大原

競合の大型スーパーは、若年層住民の大半が買い物しているが、高品質な商品が少なく、従業員の接客は十分ではない状況である。

■TAC

若年層が利用する大型スーパーは高品質な商品が少なく、従業員がほとんどおらず、十分な説明もできない状況で接客力に弱みがある。

SLA

競合の、大型スーパーは高品質な商品が少なく、従業員も少なく十分な商品説明ができず、百貨店は顧客の潜在ニーズを吸収できない。

■MMC

競合は、①品揃えでは、高品質な商品が少なく、②販促では、従業員がほとんどおらず商品説明などの接客力に不足がある状況である。

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第2問(配点25点)

B社はボランタリー・チェーン本部から新たに婦人用ハンドバッグの予約会の開催を打診された。

B社は現在のデータベースを活用しながら、この予約会を成功させようと考えている。

そのためには、どのような施策を行うべきか。

120字以内で助言せよ。

■趣旨

データベースに登録された購買履歴や住所などを活用しながら新たな予約会を成功させる施策について、助言する能力を問う問題である。

■AAS関西

施策は、①データベースに登録された顧客の好みの沿った品揃えに厳選すること、②予約会の招待状をデータベースに登録された優良顧客の住所へ郵送すること、③データベースの購買履歴を基に婦人服と調和のとれた婦人用ハンドバックを個別に薦めること、である。

■AAS東京

施策は、①婦人服の購買履歴を記憶した好みのデータを1件毎に分析し、個々の顧客合うハンドバックの品揃えを厳選すること、②個々の顧客に合うハンドバックの写真を掲載した個別のDMを作成し、記録した住所宛に送付して予約会への来店を促すこと、である。

■AAS名古屋

施策は、データベースを品揃えやプロモーションに活用することである。具体的には、①顧客毎の婦人服の購買履歴と好みを踏まえ購入した商品に合うハンドバックを厳選し、②顧客毎に商品画像入りのDMを作成し予約会の来場促進を図ることである。

■LEC

施策は、①記録した住所に予約会開催案内のDMを送付する、②顧客の好みを踏まえて品揃えを厳選し、百貨店や大型スーパーとの差別化を図る、③こだわりの接客を通して、婦人服の購買履歴や好みに合わせたハンドバックのコーディネート提案を行うこと、である。

■大原

施策は、①婦人服の購買履歴がある顧客に対して予約会実施の案内状を送って告知をすること、②顧客の好みに基づいて副社長がハンドバックの品揃えを厳選すること、③婦人服と販売するハンドバックとのコーディネートの仕方を提案することにより成功に導く。

■TAC

婦人服の購買履歴と好みの文字・画像情報を活用し、リピーターである重要顧客の好みに合うようにハンドバッグの品揃えを厳選する。販売後は、顧客のハンドバッグの購買履歴や好みを追記し、次回の品揃えに活用することで、継続的に顧客の再購買を促す。

SLA

施策は、重要顧客に対して、①品揃面で、データベースに登録された購買履歴と好みの情報から潜在ニーズを捉えたハンドバッグを厳選し、②集客面で、顧客ニーズを反映したDMを住所情報の活用で送付し、購買意欲の喚起と来会を促し、予約を獲得することである。

■MMC

B社は、①井戸端会議メンバーやリピーター等のシルバー世代の顧客を対象に、②品揃え面で、顧客の好みに合わせて厳選したバッグのサンプルを揃え、③販促面で、住所などの情報を活かしたDM等で集客し、購買履歴を活かした提案販売を行う、等の施策を行う。

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第3問(配点30点)

地域内の中小建築業と連携しながら、シルバー世代の顧客生涯価値を高めるための施策について、120字以内で助言せよ。

■趣旨

地域内の需要の変化を踏まえて、中小建築業と連携しながらターゲット層の顧客生涯価値を高める施策について、助言する能力を問う問題である。

SLA

施策は、シルバー世代に対して、井戸端会議や日用品の販売で継続的接点を保ち、会議用改装と寝具類のニーズを収集する。改装後の住居空間を中小建築業と連携して提案し、シルバー世代の新たな顧客ニーズを創出して介護用の寝具類を販売し顧客生涯価値を高める。

■MMC

建築業界は介護のための改装が増加しているため、B社は、①シルバー世代の顧客に対し、②中小建築業と連携した介護用の改装プランの提案や介護用寝具等の品揃えの充実、③介護用の日用品の販売や配達での継続的な関係性の構築、等で顧客生涯価値を高める。

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第4問(配点25点)

B社は今後、シルバー世代以外のどのセグメントをメイン・ターゲットにし、どのような施策を行うべきか。

図を参考に、120字以内で助言せよ。

■趣旨

地域内の人口構成を踏まえて、新たなターゲット層を設定し、ターゲット層のニーズに応じた施策について、助言する能力を問う問題である。

SLA

子育て世代に対して、①次期社長の保育士経験を活かした品揃えで顧客との接点を確保し、②「親と子の快眠教室」などのイベント継続で関係性を深めて売上を高め、③これら取組みによりX市の子育て世代還流に資することで地域の繁栄に貢献し、事業継続を図る。

■MMC

X市の人口は10歳以下と30代が多いため、B社は、①子育て世代を対象に、②品揃え面で、昼寝用の布団等の入園準備に関する商品の充実、③販促面で、バッグへの名入れ等を行うための刺繍教室等のイベント、休憩コーナーでの育児相談サービス、等の施策を行う。

2017H29 事例壱 「菓子製造業」第5問 解答例まとめ

■菓子製造業

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第5問(配点20点)

「第三の創業期」ともいうべき段階を目前にして、A社の存続にとって懸念すべき組織的課題を、中小企業診断士として、どのように分析するか。150字以内で答えよ。

■趣旨

非同族支配の中小企業であるA社が、「第三の創業期」といわれる新しい時代に向けて、どのような経営課題に直面しているかを分析する能力を問う問題である。
■AAS関西

組織的課題をA社のビジョンを実現するための組織構造と企業文化の視点から分析する。具体的には、①A社独自に新しい菓子を創りあげるため開発部門を設置し専門性が発揮できるか、②共に苦労を乗り越えてきた戦友の多くが定年退職した中で売上30億の中堅菓子メーカーになるビジョンを共有し一体感を醸成できるかである。
■AAS東京

課題は、事業承継を円滑に行うことである。理由は、①機能別組織のため後継者の育成が進んでおらず、高齢化しつつある社長と専務の2名に代わり経営や株式を承継する人材が不足しているため、②Z社時代から共に苦労を乗り越えてきた創業メンバーが全員退職することで、組織の一体感が失われる可能性があるため、である。
■AAS名古屋

組織的課題は、今後A社が発展を続けるための組織体制の構築である。具体的には、①営業部門で新商品開発に必要な情報収集を行うとともに、新商品開発を行う部門を立ち上げて開発を強化すること、②戦友とともに事業再建の道をスタートさせた17年前の思いを経営理念として従業員と共有し、貢献意欲を高めること、である。
■LEC

課題は、事業の承継とビジョンの実現を見据えたマネジメント層の育成である。A社は、主力商品の認知度や創業メンバーに依存し、現状の業績に安住した組織文化がある。よって、株式譲渡を含めた分権を進めるとともに、管理者層に責任と権限を委譲することで、経営参画意識の醸成と、主体的な組織文化を促すことが重要である。
■大原

組織的課題は、人的資源の確保・育成であると分析する。具体的には、高齢化が進む中で、①次世代経営者を確保・育成すること、②製造部門・営業部門・総務部門それぞれの経営幹部を育成すること、③世代交代に伴い次世代へ業務ホウハウ・知見を継承すること、④新商品の開発を実現する人材を確保し、育成することである。
■TAC

これまでのA社を支えてきた創業メンバーの多くが退職して組織力が低下する中、従来とは大きく異なる事業展開によって事業規模拡大を図っていくことになる。そのため、組織管理の体制や運営方法の制度化を図ることや、新商品開発能力や店舗運営を含めた管理能力を備えた正社員を中心とした人材の確保や育成が課題となる。
■TBC

 ①規模拡大と高齢化により社長と専務の意思決定負担が増加するため後継者候補の決定と育成を進め権限委譲する。②販路拡大による人員確保のため、正社員登用制度を導入し、能力と意欲のある非正規社員を登用する。③既存商品の売上増で有能さのワナに陥っている社員に、社長が変革の必要性を訴えチャレンジ精神を醸成する。
SLA

組織的課題は、創業の戦友が退職する中、①X社時代に事業継続困難に陥った経験と危機感の共有・伝承、②新商品の開発と首都圏出店、全国市場への進出を実現するチャレンジ精神の醸成、③A社社長の後継経営者づくりと今後の事業部制組織への変革を見据えた権限移譲の推進、④それらを実現するための人材の確保と育成である。
■MMC

A社の存続にとっては、①組織面では、新商品開発のためのプロジェクト組織の設置や、人材確保・育成のための人事部門の設置、各部門への業務に関する権限委譲と情報共有のための定期的会議の実施等のほか、②人事面では、経験者の採用や能力に応じた人員配置、新商品開発力を高めるための教育訓練の実施などが課題となる。

 

2017H29 事例壱 「菓子製造業」第4問 解答例まとめ

■菓子製造業

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第4問(配点20点)

 A社は、全国市場に拡大することでビジョンの達成を模索しているが、それを進めていく上で障害となるリスクの可能性について、中小企業診断士の立場で助言せよ。100字以内で答えよ。

■趣旨

地域ブランドとして優位性をもつ主力商品の全国市場への展開がもたらす問題を分析し、それに対して適切な助言をする能力を問う問題である。
■AAS関西

可能性は、①非正規社員の人員構成が高いため、職場環境の整備が遅れると多様な人材の確保が進まないこと、②自社店舗による直接販売は行っていないため、首都圏出店の夢を実現するための人材の育成が進まないこと。
■AAS東京

リスクは、①全国市場での競争に対応した販路拡大・生産力増強が必要となり、過剰投資による負債の増大を招く可能性、②正規社員が少ない体制であるため、新商品開発を行う人材の確保・育成が進まない可能性、である。
■AAS名古屋

リスクになる可能性は、①販路拡大や生産力増強のための過剰投資によって、負債が巨額になってしまう点、②直営店がないため顧客との接点がなく、新商品開発に必要な情報収集を行うことができない点、である。
■LEC

主力商品の認知度は限定的なため、市場開拓や商品開発に向けた、設備や人材の投資が必要となり、事業の成否による経営リスクが高まる。また、組織が拡大することで、環境変化に応じた迅速な意思決定が行いにくくなる。
■大原

①直営店がなく、市場ニーズを把握した上での商品開発経験がないため、全国市場で戦える新商品開発ができないリスク、②首都圏出店や販路拡大に必要な資金が調達できないリスクが障害となる可能性があると助言する。
■TAC

新商品開発と首都圏出店が要件となるが、競争力のある独自商品が開発できずにいたずらに商品アイテムが拡大すると、ブランドイメージの希釈化や過剰投資による資金不足に直面し、全国市場への展開の継続が困難になる。
■TBC

 正社員に余剰人員がなく、既存商品との生産シナジーが乏しい新商品の開発や、販売シナジーが乏しい自社店舗による販売を行う場合には、販路拡大や生産力増強のための設備や人材投資が必要になり事業リスクが高まる。
SLA

リスクとして、①主力商品への依存から脱却し新商品の品目を増やすことによるブランド価値の希釈化、②ブランド認知度の全国での低さから販路拡大、生産力増強の投資回収ができず事業が継続困難に陥る可能性がある。
■MMC

市場拡大を進める上では、①独自の商品開発が必要だが、主力商品への依存で開発力が不足、②首都圏出店が必要だが、店舗販売のノウハウが不足、③人材の確保・育成が必要だが、定年退職で人材が不足等のリスクがある。

 

2017H29 事例壱 「菓子製造業」第3問 解答例まとめ

■菓子製造業

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 第3問(配点20点)

 A社が工業団地に移転し操業したことによって、どのような戦略メリットを生み出したと考えられるか。100字以内で答えよ。

■趣旨

事業活動拠点の移設に伴う事業展開上の戦略的メリットについて、分析する能力を問う問題である。
■AAS関西

戦略的メリットは、①ハサップに準拠する製造工程により、かつての商品に勝るとも劣らない品質や食感を生み出したこと、②販路拡大・生産力増強を進めるにあたり、誘致対象の地元企業との連携の機会を生み出したこと。
■AAS東京

メリットは、①手狭な工場を移転し日産50,000個体制に整備することで、売上の伸長に対応できたこと、②ハサップに準拠した新工場での操業により、かつての商品に勝るとも劣らない品質や食感を確保できたこと、である。
■AAS名古屋

戦略的メリットは、①新工場においてハサップに準拠するとともに銘菓といわれた商品の品質や食感を確保できた点、②焼菓子日産50,000個体制を整備し、全国市場に展開するための販売量の増加に対応できた点、である。
■LEC

地元中心の事業戦略において生産性と品質の競争優位を創出したと考えられる。工程を自動化したことで、生産量の増加に伴う規模の経済性が働くとともに、HACCPの取得を通じ、銘菓と知られた味わいを復活できた。
■大原

メリットは、全国市場進出を可能とする生産体制が構築できたことである。具体的には、①HACCP認証による衛生管理体制の整備、②商品の品質・食感の確保、③製造工程の大幅な変更による日産5万個の体制構築である。

■TAC

広い敷地に工場を構えることで、銘菓としての品質や食感を確保するために必要な機器の導入と、自動化による生産効率の高い生産体制の構築により、商品価値のさらなる向上と需要量の伸長への対応を実現できたこと。
■TBC

 ①行政からの誘致支援により広い工場用地を確保でき、量産体制を確立し生産コストが逓減した。②工業団地内企業との関係性が高まり、製造技術の高度化による商品改良や共同配送による物流の効率化が可能になった。
SLA

メリットは、①売上拡大に応じた生産力増強、②非正規社員の採用や勤務に有利なインフラ、③地域別出荷に適した立地、により現在の競争優位性確立、④さらに将来の売り上げ拡大に対応する事業基盤が形成できたことである。
■MMC

移転により、①HACCPに準拠した管理による安全確保、②かつての商品に劣らない食感の確保など商品の高品質化、③日産5万個の生産が可能な量産体制の構築で、全国市場に拡大可能な戦略的メリットを生み出した。

 

 

2017H29 事例壱 「菓子製造業」第2問 解答例まとめ

■菓子製造業

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第2問(配点20点)

 A社の正規社員数は、事業規模が同じ同業他社と比して少人数である。

少人数の正規社員での運営を可能にしているA社の経営体制には、どのような特徴があるのか。100字以内で答えよ。

■趣旨

同業他社に比べて少数の正規社員による効率経営を実現している事業の仕組み及び管理体制について、分析する能力を問う問題である。

■AAS関西

A社の経営体制の特徴は、①機能別組織の3部門の長と正社員の陣容が明確であり権限と責任が一致していること②A社社長と正社員が出資者となっているため円滑なコミュニケーションで目標達成意欲が高揚できること。

■AAS東京

特徴は、①自社店舗による直接販売は行っておらず、営業部門が取引先への配送管理と

在庫管理まで兼務できていること、②製造工程の自動化が進んでおり、補助業務は

非正規社員を交代勤務で活用していること、である。

■AAS名古屋

特徴は、①製造工程の自動化により効率性を高めることで、営業や人事、製造の主要工程に正規社員を集中させている点、②人手のいる箱詰めや包装、倉庫管理などの補助業務には、非正規社員を活用している点、である。

■LEC

特徴は、経営陣が全株式を保有し、少人数の体制で意思決定が行いやすいことである。

また、機能別組織による分業体制で、定型業務を流動人員で補完しやすく、少ない組織階層のもと経営方針をトップダウンで進めやすい。

■大原

特徴は、①営業面では、少人数での効率的な営業体制と自社店舗を持たない少人数での

販売体制、②生産面では、部門長の下での効率的な生産体制、補助業務での非正規社員の活用、製造工程自動化による効率性向上である。

■TAC

製造工程を自動化していることや自社店舗を有していないことなどにより、

社内業務が非正規社員でも担いやすい補助業務などの比率が高く、業務調整の量も少ない。そのため、少人数の管理者による組織管理が可能である。

■TBC

 ①中核業務を正規社員、補助業務を非正規社員が行うため、中核業務への集中と業務量の繁閑へ柔軟に対応できる。②社長と専務による集権的な機能別組織のため迅速な意思決定と部門の専門性、規模の経済性がはかれる。

■SLA

特徴は、①3種類のラインアップの主力商品で行うスリムな事業展開、②正規社員が製造、営業、総務の中核事業を、非正規社員が補助業務を担う独自の機能別組織、③手作業の自動化が可能にした効率的な生産体制である。

■MMC

特徴は、①機能別組織による職能別の専門分化と共に、②製造部門の飴・生地づくりや営業部門の折衝等の主要業務を少人数の正規社員が担当し、箱詰等の補助業務は非正規社員が担当するなど業務も専門分化を行っている。

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第3問(配点20点)

 A社が工業団地に移転し操業したことによって、どのような戦略メリットを生み出したと考えられるか。100字以内で答えよ。

■趣旨

事業活動拠点の移設に伴う事業展開上の戦略的メリットについて、分析する能力を問う問題である。
■AAS関西
■AAS東京
■AAS名古屋
■LEC
■大原
■TAC
■TBC
SLA

メリットは、①売上拡大に応じた生産力増強、②非正規社員の採用や勤務に有利なインフラ、③地域別出荷に適した立地、により現在の競争優位性確立、④さらに将来の売り上げ拡大に対応する事業基盤が形成できたことである。
■MMC

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第4問(配点20点)

 A社は、全国市場に拡大することでビジョンの達成を模索しているが、それを進めていく上で障害となるリスクの可能性について、中小企業診断士の立場で助言せよ。100字以内で答えよ。

■趣旨

地域ブランドとして優位性をもつ主力商品の全国市場への展開がもたらす問題を分析し、それに対して適切な助言をする能力を問う問題である。
■AAS関西
■AAS東京
■AAS名古屋
■LEC
■大原
■TAC
■TBC
SLA

リスクとして、①主力商品への依存から脱却し新商品の品目を増やすことによるブランド価値の希釈化、②ブランド認知度の全国での低さから販路拡大、生産力増強の投資回収ができず事業が継続困難に陥る可能性がある。
■MMC

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第5問(配点20点)

「第三の創業期」ともいうべき段階を目前にして、A社の存続にとって懸念すべき組織的課題を、中小企業診断士として、どのように分析するか。150字以内で答えよ。

■趣旨

非同族支配の中小企業であるA社が、「第三の創業期」といわれる新しい時代に向けて、どのような経営課題に直面しているかを分析する能力を問う問題である。
■AAS関西
■AAS東京
■AAS名古屋
■LEC
■大原
■TAC
■TBC
SLA

組織的課題は、創業の戦友が退職する中、①X社時代に事業継続困難に陥った経験と危機感の共有・伝承、②新商品の開発と首都圏出店、全国市場への進出を実現するチャレンジ精神の醸成、③A社社長の後継経営者づくりと今後の事業部制組織への変革を見据えた権限移譲の推進、④それらを実現するための人材の確保と育成である。
■MMC

2017H29 事例壱 「菓子製造業」第1問 解答例まとめ

■菓子製造業

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第1問(配点20点)

 景気低迷の中で、一度市場から消えた主力商品をA社が再び人気商品にさせた最大の要因は、どのような点にあると考えられるか。100字以内で答えよ。

■趣旨

創業後わずかな期間で高い業績をあげるに至った要因について、経営環境を考慮した上で分析する能力を問う問題である。

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■AAS関西

最大の要因は、 X社時代の経営資源を引き継いだからで ある。具体的には、①地元で

の高い認知度や商標権等の無形資源を引き継ぎ、②A社社長をはじめX社で共に働い

ていた仲間といった有形資産を引き継いだ点である。

■AAS東京

最大の要因は、X社の経営資源を承継できたためである。具体的には、X社の主力商品の商標権をA社に譲渡することが短期間で決まり、贔屓筋の嘆願や取引先の販売支援継続などX社の顧客基盤も承継できたためである。

■AAS名古屋

最大の要因は、X社の経営資源を承継できた点である。具体的には、①X社の人材で事業を立ち上げ、数年をかけて昔ながらの味を復活させた点、②認知度の高い商品に絞り込み、X社の顧客基盤を承継できた点、である。

■LEC

要因は、主力商品を軸としたドメインに絞り込んだことが考えられる。主力商品の商品名を社名に掲げ、また品質の確保に向けて経営資源を集中させたことで、主力商品のブランド価値をコア・コンピタンスに育成できた。

■大原

要因は、商品の絞り込みを行ったことである。具体的には、認知度が高かった主力商品の商標権を取得することができ、主力商品の昔ながらの味を復活させることができたことで、X社の顧客基盤を承継できたことである。

■TAC

地元において高い認知度を有した商標を冠にした社名とした上で、昔ながらの味を追い求めつつ、主力商品だけに絞った商品展開とすることによってブランドイメージを明確化し、消費者に対する浸透力を向上させたこと。

■TBC

商品アイテムを市場の認知度が高い主力商品に絞ったことである。商品名を会社名に冠し、X社の主要取引先や菓子工業組合の支援を背景に、老舗ブランドの品質や食感を自動化と効率化を伴って実現できたことである。

■SLA

最大の要因は、X社の商標権を取得した上で認知度の高い主力商品に集中しブランド価値を高めたことである。その実現に、①商品名を冠した新会社名②HACCP準拠と品質食感の確保③X社時代の顧客の再購買が貢献した。

■MMC

 最大の要因は、商品アイテムの主力商品への限定や、商品名を冠にした会社設立、かつての品質や食感を出すための多額の機器購入や製造工程の自動化など、「主力商品への選択と集中による事業展開」を行ったことである。