2017H29 事例壱 「菓子製造業」第2問 解答例まとめ

■菓子製造業

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第2問(配点20点)

 A社の正規社員数は、事業規模が同じ同業他社と比して少人数である。

少人数の正規社員での運営を可能にしているA社の経営体制には、どのような特徴があるのか。100字以内で答えよ。

■趣旨

同業他社に比べて少数の正規社員による効率経営を実現している事業の仕組み及び管理体制について、分析する能力を問う問題である。

■AAS関西

A社の経営体制の特徴は、①機能別組織の3部門の長と正社員の陣容が明確であり権限と責任が一致していること②A社社長と正社員が出資者となっているため円滑なコミュニケーションで目標達成意欲が高揚できること。

■AAS東京

特徴は、①自社店舗による直接販売は行っておらず、営業部門が取引先への配送管理と

在庫管理まで兼務できていること、②製造工程の自動化が進んでおり、補助業務は

非正規社員を交代勤務で活用していること、である。

■AAS名古屋

特徴は、①製造工程の自動化により効率性を高めることで、営業や人事、製造の主要工程に正規社員を集中させている点、②人手のいる箱詰めや包装、倉庫管理などの補助業務には、非正規社員を活用している点、である。

■LEC

特徴は、経営陣が全株式を保有し、少人数の体制で意思決定が行いやすいことである。

また、機能別組織による分業体制で、定型業務を流動人員で補完しやすく、少ない組織階層のもと経営方針をトップダウンで進めやすい。

■大原

特徴は、①営業面では、少人数での効率的な営業体制と自社店舗を持たない少人数での

販売体制、②生産面では、部門長の下での効率的な生産体制、補助業務での非正規社員の活用、製造工程自動化による効率性向上である。

■TAC

製造工程を自動化していることや自社店舗を有していないことなどにより、

社内業務が非正規社員でも担いやすい補助業務などの比率が高く、業務調整の量も少ない。そのため、少人数の管理者による組織管理が可能である。

■TBC

 ①中核業務を正規社員、補助業務を非正規社員が行うため、中核業務への集中と業務量の繁閑へ柔軟に対応できる。②社長と専務による集権的な機能別組織のため迅速な意思決定と部門の専門性、規模の経済性がはかれる。

■SLA

特徴は、①3種類のラインアップの主力商品で行うスリムな事業展開、②正規社員が製造、営業、総務の中核事業を、非正規社員が補助業務を担う独自の機能別組織、③手作業の自動化が可能にした効率的な生産体制である。

■MMC

特徴は、①機能別組織による職能別の専門分化と共に、②製造部門の飴・生地づくりや営業部門の折衝等の主要業務を少人数の正規社員が担当し、箱詰等の補助業務は非正規社員が担当するなど業務も専門分化を行っている。

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第3問(配点20点)

 A社が工業団地に移転し操業したことによって、どのような戦略メリットを生み出したと考えられるか。100字以内で答えよ。

■趣旨

事業活動拠点の移設に伴う事業展開上の戦略的メリットについて、分析する能力を問う問題である。
■AAS関西
■AAS東京
■AAS名古屋
■LEC
■大原
■TAC
■TBC
SLA

メリットは、①売上拡大に応じた生産力増強、②非正規社員の採用や勤務に有利なインフラ、③地域別出荷に適した立地、により現在の競争優位性確立、④さらに将来の売り上げ拡大に対応する事業基盤が形成できたことである。
■MMC

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第4問(配点20点)

 A社は、全国市場に拡大することでビジョンの達成を模索しているが、それを進めていく上で障害となるリスクの可能性について、中小企業診断士の立場で助言せよ。100字以内で答えよ。

■趣旨

地域ブランドとして優位性をもつ主力商品の全国市場への展開がもたらす問題を分析し、それに対して適切な助言をする能力を問う問題である。
■AAS関西
■AAS東京
■AAS名古屋
■LEC
■大原
■TAC
■TBC
SLA

リスクとして、①主力商品への依存から脱却し新商品の品目を増やすことによるブランド価値の希釈化、②ブランド認知度の全国での低さから販路拡大、生産力増強の投資回収ができず事業が継続困難に陥る可能性がある。
■MMC

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第5問(配点20点)

「第三の創業期」ともいうべき段階を目前にして、A社の存続にとって懸念すべき組織的課題を、中小企業診断士として、どのように分析するか。150字以内で答えよ。

■趣旨

非同族支配の中小企業であるA社が、「第三の創業期」といわれる新しい時代に向けて、どのような経営課題に直面しているかを分析する能力を問う問題である。
■AAS関西
■AAS東京
■AAS名古屋
■LEC
■大原
■TAC
■TBC
SLA

組織的課題は、創業の戦友が退職する中、①X社時代に事業継続困難に陥った経験と危機感の共有・伝承、②新商品の開発と首都圏出店、全国市場への進出を実現するチャレンジ精神の醸成、③A社社長の後継経営者づくりと今後の事業部制組織への変革を見据えた権限移譲の推進、④それらを実現するための人材の確保と育成である。
■MMC